現代戦の虚実と2冊の本

 今回は上記の二つから戦争の虚実についてSF(思考遊戯)したいと思っています。
 まず、TeamOfTeamから・・・これは一言でいえばトップダウン型の組織であるアメリカ軍と自己判断型組織であるテロ組織の戦いをアメリカ軍側から描いた書籍です。
イメージ 2

 主役となるのは歩兵と情報戦術でアメリカ軍は兵士の質、装備、量で優位に立ちながらも情報戦での敗北により不利な状況でした。これは従来であれば成立しなかった自己判断型組織の緩やかな連携がソーシャルメディアの発達により成立してしまったため、アメリカ軍が持っていた情報戦における軍事ドクトリン通用しなかった事に原因があります。

 本書はアメリカ軍士官がいかにしてトップダウン組織を自己判断型組織に対抗できるようにしていったかをアメリカ軍将校の視点で描かれており、現代ビジネスに通じるような内容に仕上がり、非常に興味深い内容が記載されています。
 もちろん、この分野は現在進行形で変化、発展中のため書いてある事は必ずしも正しいとはいえませんが、考え方を変えるうえでの起点となる事は間違いないと思います。


 続いて、「砲兵」から見た世界大戦ですがこちらは第2次大戦における虚実を記載しております。第2次大戦の花形といえば戦車と航空機と思いますが・・・本書では勝敗の決め手となったのは砲兵としており、目からうろこの話が数多くでています。
イメージ 1
 簡単にいえば機動戦:戦車や歩兵が主h体で主要目標を効率的に破壊、火力戦:砲兵が主体となりすべてを破壊を目標とする。この二つの対立が軸となって記載されています。
 本書の中での面白いデーターは戦車の破壊原因です。なんと戦車は戦車によって破壊されていたのではなくて、砲兵からの砲撃や対戦車ロケットでの破壊が多いというデーターや、戦車を直接破壊する徹甲弾と間接破壊を目的とした榴弾の生産数などを提示しています。


 この二つの書籍が示す事は何かというと戦争における実体験からの教訓です。
 現代の軍事は市街戦、地上戦、空戦、海戦と大まかにいって4つのカテゴリーにわける事ができます。ちなみに市街戦=対テロ戦、非正規戦闘は第2次大戦後に生まれたカテゴリーです。
 この二つの書籍ににて市街戦と地上戦への理解が深まります。そしてのその知識より現代で発生している事柄を分析しなおすと面白い事が見えてきます。
 ちなみに空戦と海戦については、なんとも言い難いです。というのも第2次大戦後で大規模な空戦、海戦が発生していないからです。アメリカと中国が戦えばアメリカが勝つと言われていますが・・・必ずしも確実に勝てると言えないのは空戦と海戦のテストケースがないからです。
 まあ、地上戦を伴う空戦については何度か行われており軍事ドクトリンが確立していると思われますが、海戦が混じった時にどうなるかについてはかなり未知数です。


 アメリカ軍の韓国からの撤退について
 これは韓国自体のイージス艦などの新技術の出現による韓国の戦略的価値の低減と地上戦でかかる莫大なコストを考慮して決断されたのではないかと思います。
 ようするに北朝鮮と地上戦をやっても勝てなくはないが莫大な費用がかかるため、地上での防衛戦から海上封鎖や制空権確保へ軍事ドクトリンが変更になった事が原因ではないかと思っています。


 アメリカvs中国について
 アメリカは長らく旧ソ連=現ロシアを仮想敵国として経済戦争、情報戦、ICBMなどの長距離兵器での戦闘などを想定して冷戦を行ってきました。
 冷戦においては経済戦争の勝利によりアメリカはソ連を解体する事ができましたが・・・その一方で戦火を交えなかったため海戦については軍事ドクトリンが第2次大戦で止まっております。特に第2次大戦以降大規模海戦についてはほとんど行われておりません。

 そこでアメリカが考えたのは海戦ができる相手を作るという戦略です。そして、その対象国となったのが中国です。そして、現在の中国の裏にはEUがいます。
 つまるところ中国とアメリカで限定的な海戦を行わすように世界のすべてが動いているような情勢です。

 おそらくなのですがウクライナ情勢においてアメリカがEUに賛同して戦争を煽ったのは現代兵器を使っての限定的な地上戦戦を行いたかったのだと思います。そのためアメリカは戦闘の勝ち負けにこだわっておらず。戦況がある程度、落ち着くと和平に動いています。
 また、この地上戦にともない空戦も行われたと思います。

 そのためアメリカは中国に対して海戦で勝つまではやるでしょうが中国の解体もしくは政治体制の偏向にはこだわらないのではないかと思います。



 16式機動戦闘車の誕生
 車輪のついた中途半端な戦車です。こちらの有効性については、さまざまな意見がでておりますが砲兵との連携において機動戦と火力戦のバランスを火力戦に振るための第一弾ではないかと思います。
 アメリカ軍はストライカー装甲車の回収や機能の拡大を図っているようで、同様の兵器は世界でも採用されています。これは先進国軍が湾岸戦争を始めとする地上戦にて何らかの軍事ドクトリンを変えた可能性が高いです。榴弾砲自走砲など砲に類する兵器の開発動向は国際政治に大きな影響を与えると推測されます。
 


 ロシアvsアメリカについて
 どちらが強いか・・・地上戦についてはロシアだと思います。規模と質でいえばアメリカ軍ですが幸か不幸か旧ソ連の解体やソ連時の紛争においてロシアは地上戦のノウハウを確立、更新しているため運用や最適化では劣勢にあり、アメリカ及びEUはロシアに下手に手をだせない状況ではないかと思います。
 海戦、空戦については第2次大戦時の軍事ドクトリンが技術の進歩により陳腐化していますので、これまた未知数です。ただ、地上戦を含める形での空戦となるとロシアが優位です。
 実際のところシリア紛争はロシアの参戦により、そのパワーバランスが大きく変化しています。


 戦争についてガッツリ書いてしまいアレルギーのでる方もいるでしょうが・・・戦争は外交と経済の延長にあると昔から言われています。逆にいえば戦争における事前の戦略差というのは外交、経済に大きな影響を与えます。
 そのため政治と経済を理解しようと思うと軍事に対する理解というのは必要ではないかと思っています。でわでわ、この辺りで。