体罰の是非について

ここ最近、スポーツ界でのパワハラモラハラ体罰の問題が頻繁に世間を騒がしているのでそれについてSF(思考遊戯)したいと思います。

まず、体罰=暴力を伴う指導についてですが、これは効果があると思います。
ただし、一長一短という言葉があるように高い効果がある分、デメリットも大きいかと・・・

ですので体罰の是非はいくつかのケースで考えてみたいと思います。
①動物の訓練、調教、しつけ:体罰が容認される。
②軍人、警察官の教育課程:限定的に体罰が容認される。
③スポーツの指導:体罰が原則容認されない。


まず、①についてですが動物は言葉で物事の善悪を理解する事ができず、体験による経験で善悪を判断します。
ようするに何かをやって、良いことが起これば良いことと認識するし、その逆の場合は悪い事と認識します。ですので体罰=暴力を伴う指導というのは必然となります。

②の場合はどうかいうと、彼らは職務上で暴力を行使する事を許可されています。そのため、その教育というのは世間一般で行われるものとは少し異なります。
軍隊の新兵訓練や警察学校の一定の期間などはかなり厳しく指導され、暴力などを使われるケースもあるかと・・・ただ、彼はマーダーライセンス、殺人許可証を持つ立場となりますので上記に書いたように一般論に当てはめては判断はできないと思います。

①②のケースでどうして大きな問題にならないかというと上記に書いた事情に加えて体罰=暴力による指導を研究して運用しているからだと思います。
①のケースであれば、体罰の運用を間違えると調教師、訓練士は動物から攻撃をうけて最悪は死に至ります。
②についても銃器や武器を伴うわけですし、特に軍隊は効率を重視するので体罰の結果として何が起こったかをキッチリと評価すると思います。
要するに体罰=暴力を伴う指導をかなり研究して運用していると言えると思います。


③の場合についてですが私は原則的に体罰は禁止にすべきだと思いますが・・・なかなか無しにできないという事情もあります。
想定されるパターンは三つ
③-A 小学生以下の指導
③-B 中学生以上の学生向け指導
③-C プロ選手への指導

まずは③-A、小学生への指導における体罰ですが、この年代の子供は未発達の状態です。いうなれば①に近い要素を持っています。
ですので体罰=暴力を伴う指導が非常に有効なため、なかなかやめたくてもやめれないという悪循環に陥りがちです。

また、優秀な子供ほど扱いが難しく、指導には強い刺激が必要でついつい暴力を使ってしまうと・・・これに自身の子供の扱いづらさを知っている保護者がそれを容認するという事情が加わりさらに問題はややこしくなると思います。

時間がかかるでしょうが、このケースはより指導に効率的な刺激を研究する事とガイドラインを定めて情報を開示しながら、時間をかけて取り組むしかないと思います。特に現状ではあまり行われていない保護者の教育にはもう少し労力を割いてもいいと思っています。
ただ、時間をかけて取り組めば、必ず成果がでるでしょうし、実際に減ってきているのが現実です。

③-B、中学生以上の学生についてですが、これは時間をかけて指導者側に教育を行った事により改善傾向にあります。あわせて生徒側へ指導へもう少し力をいれれば、近いうちに解決するのではないかと思っています。


一番問題なのが③-C プロ選手への指導です。このプロ選手の場合は範囲が非常に広くなります。いわゆるスポーツエリートと呼ばれる選手は中学生くらいからはセミプロとして活動しているからです。特に肉体のピークが20歳前後である女性にアスリートについては中学生でプロに相当する活動を行っているケースもあります。

③-Cでの体罰を防ぐには体罰がないと成果がだせない指導者と選手に制限を加える、排除する事だと思います。ここでのポイントは選手も罰せられる立場に含めたことです。
体罰=暴力を伴う指導というのは非常に効果が高いため、選手側がそれを望んでしまうというケースがあります。また、プロである以上は成果をださなければいけない・・・
暴力的な指導で成果をだしている指導者と選手に制限を加えたり、排除するのは非常に勇気のいる決断です。落合監督は自身の球団で体罰をなくすのに2年を要したとコメントし、どうして最も早くできなかったのだろうか?と悔やんでいましたが・・・私から見ると2年でも十分早いと思います。

オリンピックも近いですし、日本のスポーツ界は勇気をもって決断するべき時なのかもしれません。
ちなみ世間を騒がして体操の選手とコーチの場合はコーチを罰するのではなくて、生徒、コーチをセットで根気よく指導しつつ、状況によっては両者に罰則を与えるべきだと思います。彼らはある種の絆で結ばれているわけですから、引き離すのはよくないと思います。


ちなみに所謂、格闘技系のスポーツでは体罰はあまり問題となりません。というのも①に近いものがありで下手をすると指導者側が選手側から攻撃されるからです。
まあ、かわりモラハラパワハラなどの体罰を伴わないものは多いようですが・・・
また、相撲のかわいがりというのも判断が難しいです。相撲取りの体というのは一般人にとっては明らか凶器です。そして、相撲取りになるような人は気性が激しく中途参加の人も多い・・・これを暴力無しで指導なると・・・相当な難易度です。これは②のケースに近いものがあります。

①のケース、犬のしつけ、訓練においてアメリカが体罰無しの褒めるしつけ、訓練がはやった時期があります。
結果は・・・トラブルが増える事態になりました。
そのため、今は犬にあわせた適切な刺激でしつけ、訓練を行い、必ず陽性強化といって褒める、ご褒美を組み合わせて行うという事になっています。
上記で書いた適切な刺激というのが非常に厄介です。犬種やその子の性格によっては適切な刺激でも虐待に見えるケースもあるためです。

私自信を振りかえってみると、子供への体罰は容認派でしたが・・・その運用にはかなり注意を払っていました。小学生以下の幼少期には頭は絶対に叩かないようにするとか、小学生の時は最後の最後の手段にするなどなど・・・
そして、自分のやってきた事が正しかったかと言われると・・・その時のベターな選択を選んだつもりではありますが、正解とは胸をはって言えないという感じです。


最後に③-Cについてですが、指導者と共に選手も罰するべきだという意見は現状はほとんど上がっていません。プロ選手と指導者については指導者側が体罰=暴力を伴う指導をやりたくないが行っているというケースもあると思います。
ようするに周囲や選手との関係でやらざるを得ない、そして何時の間にか歯車が狂ってしまう・・・協会の上層部と言われる方々の勇気ある決断が必要ではないでしょうか?

では、この辺で