JKJOルールの実戦性について

このブログは攻略JKJOルールとセットになっています。
そちらをあわせて読んでいただければ幸いです。

前回の投稿でJKJOルール(以下統一ルール)はフルコンタクト空手の質を変えるくらいの大きな変更であると書きました。また、それ以前のルールを旧ルールとさせていただければと思います。
フルコンタクト空手というのは武道です。そのため武術的な側面である実戦性についても意識を持つ必要があります。ではこのルール変更がどのような変更を与えたか考えていきたいと思います。

統一ルールの大きな特徴は手による押しという行為が大幅に制限され、反則行為となった事です。
これによって起こった変化は以下のような感じです。
・パンチのハンドスピードが向上し連打が上手になった。
・試合での掴みという行為はほとんどみられなくなった。
・蹴りの頻度が減り、特に旧ルールで多様されていたローキックの頻度が減った。
といったところです。

柔道をやってわかったのですが、相手を押すという行為は相手を掴む行為の前段階なんですよね。ですので手による押しが認められていた旧ルールというのは打撃競技でありながらも、組技の要素を残していたともいえます。
私自身が中年になって柔道を始めた時にいわゆる組手争いというやり取りについてはあまり違和感なくなじむ事ができた事よりも確かな事だと思います。逆に組んでしまった後の対応については違和感が多く、不慣れな感じでいまだに慣れません。

実社会でおこる、暴力を伴い出来事については幾つか段階があり
①相手の近接攻撃が届かない距離で見合う。
②相手を手で押せる距離で見合う。
③相手と掴み合った距離で見なう。
と三段階のステップを踏んでいると思います。

武器を使う場合は①の段階でだします。相手が②の状態に踏み込んできた場合はこちらを打撃で攻撃する意思があるともいえます。③までいくと相手は攻撃する意思とやめたい意思が半々ともとれます。

旧ルール育ちの人の護身のパターンとしては①の段階で相手が武器を使うかの意思を確認し、②の段階では押しを使って距離をとりながら、相手に後遺症が残らない技である。ローキック、ミドルキック、ボディブローを使い相手を制する事となります。
これは現行の法律を考慮すると非常に理にかなった対応です。というのも顔面というのは急所が集まっていて回復不能なダメージを与えやすく法的な問題に発展しやすいですし、頭部は非常に強度があるため、当てると自身の拳を壊してしまう可能性もあります。
フルコンタクト空手の試合で攻撃する箇所は後遺症がでにくく、それを躊躇なく攻撃できるといのはフルコンタクト空手の長所です。そのため実戦=喧嘩などの暴力伴う揉め事においては有効性の高い技術体系です。
しかも、上記の技術は習得の難易度が低いです。少なくとも柔道の投げ技やボクシングの相手を倒すレベルのパンチよりははるかに習得が容易です。

フルコンタクト空手=喧嘩空手を標榜していましたが、あながち間違っていません。
喧嘩=暴力的と思いがちですが、喧嘩というのは相手を後遺症が残らないように倒して、自分が強い事を証明するのが理想なわけですから、むしろ心優しいともいえます。

これが顔面などの急所をうつ場合は喧嘩ではなくて、戦闘になり壊し合い、殺し合いに発展しかねませんし、後で法律的なペナルティをうける可能性があります。

終戦後の日本において1990年代あたりまでは、喧嘩は頻繁に起こっていました。フルコンタクト空手がメジャーになったのは、極真空手のメディア戦略も大きかったですが、実社会のニーズに適合したという事ももたしかではないでしょうか。

上記のようなメリットは押しが制限される統一ルールではなくなってしまいました。ただ、社会全体が暴力を嫌う傾向にありましたので、そういった揉め事に対するニーズも減っている状況なので問題ないのではないかと思います。


むしろ、2000年代に入って本格化した格闘技ブーム及び総合格闘技の設立に伴い発生した問題の方が大きいように思われます。
旧ルール育ちのフルコンタクト空手の選手についてはグローブありでの顔面パンチに対応できない。組技に適応できないなどと言われるようになりました。これは実戦を意識して残していた、『押し』という行為を容認していたのが原因ではないかと思います。
競技として見た場合に押しという中途半端な技術を残しているがゆえに対応がきかなくなったと・・・
ちなみにフルコンタクト空手の選手は裸拳での対応については意外といけます。ただ、それは試合には取り込めない要素です。

上記のフルコンタクト空手の欠点が統一ルールでどうなったかの判定については時間がかかりますが
・選手のパンチのハンドスピードがあがった。
・中途半端に技である押しを覚えなくなった。
この2点の事実より顔面パンチや組技の技術を習得するときは、変な癖がないので、やりやすくなっているのではないかと思います。

面白いのはJKJOというのは新極真空手が運営の中心にある団体です。
大山倍達先生の死去に伴い極真空手極真空手新極真空手を筆頭とする多くの流派に分かれました。おのおののトップをもじって極真空手松井派新極真空手は緑派といったります。

JKJOルールは緑派の陣営になり、ここに日本の6~8割のフルコンタクト空手流派が合流しています。

では松井派のルールがどうなっているかというと、JKJOとは別の方向に向かっています。
具体的には
・サバキなどの柔道、合気道技の容認
・防具を使った顔面攻撃の解禁による防具空手流派の取り込み
です。

ただ、これを突き詰めていくのはライバルが多いので厳しいのではないかと思います。
といいますのも競技としてみた場合には日本拳法、空道という先駆者がいます。特に空道はロシアを中心にグローバル化が進んでいます。まあ、日本拳法については東西で協会が分断された関係で発展が阻害されていますが・・・
試合を伴わない技術については合気道やサバキ空手である芦原会館がいます。ちなみに芦原会館はJKJOの協力団体です。


そういう意味ではJKJOが作った統一ルールというのは方向性が間違っていないように思います。ただ、実戦性については低下したので、何らかの形で補わなければいけないと思います。
とわいえ、素人の人でも総合格闘技の技術を知っている状態なので、モチはモチ屋に任せる形で専門の方に+αの技術を学ぶというのも悪くないと思います。

でわ、この辺で。