アルドノアゼロとはなんだったのか?

私はアマゾンプライムに契約しており、アルドノア・ゼロというアニメを改めて見る機会に恵まれました。このブログの記念すべき第1回がこれになったのは、小生の酒を飲んでよくわからない感じで上がったテンションが原因です。

それでは科学的遊戯(SF)していきましょうか。

このアニメは2014年に放送されたのですが、前半部は最高、後半部は最悪。名作になり損ねた迷作。映像は最高によかったなどなど、賛否両論、物議をかもしだした作品です。

大枠の内容についてはSFアニメに属し、チートな敵をトンチを効かして倒すというのがメインとなり、いわゆるスーパーロボット路線とリアルロボット路線の融合を目指した作品です。
ストーリー原案は書くものすべてがバッドエンドとなりエログロが追加されると曰く付きのクリエータ虚淵玄氏、監督はあおきえい氏、シリーズ構成は高山カツヒコ氏です。


この作品の前半部12話と後半部12話が期間をわけて放映されました。そして後半にいけばいくほど評判が悪くなり、そのエンディングにてそれは頂点に達したともいえる作品です。
さて私がこの作品をあらためて見たのは2018年1月・・・あれ、思ったよりも悪くないです。2014年に酷いと感じていたところは思ったよりも良いできです。
 
何故、このような原因が生じたかを考えみました・・・















それはお約束を間違えてしまった。
この一言につきるのではないかと思います。

このお約束は別名作風とも言えます。視聴者の望むお約束というものを制作陣を読み間違えたために、この作品は良い出来なはずなのに評価されなかったのではないかと思います。


さて、どのようなお約束を間違えてしまったのでしょうか?ひとつひとつSFしていきたいと思います。

①舞台装置としての世界設定と歴史
ざっくりいくと火星に進出した人類が謎のスーパーパワーを見つけて、いろいろあって階級社会を形成します。ただ、水と空気という資源に乏しく常に破綻を招く可能性があり、そのはけ口として地球侵略、地球人へのヘイト政策にて体制を維持しています。
どこかの特定アジアの国を思わせる設定ですねw。こちらについては概ね悪くなかったです。シナリオの後半になると地球側陣営は問題もはらみつつも、ほぼ1枚岩。火星側はグチャグチャという感じです。
 
概ねは問題はなかったのですが・・・水と空気を求めて戦争をしかけたのに、地球のそれらを全く集めないのはちょっとどうかなあと思います。前半部はよいのですが後半部についてはそういったシーンをいれるべきだったと思います。
ですので地球と火星の戦う根源的な理由についてパンチがかけるような感じです。

スーパーロボットvsリアルロボット
これも後半についてはダレた感がありますが概ね悪くありません。ただ、スーパーロボットvsリアルロボットを名乗るなら巨大メカをだすべきだった思います。ただ、シナリオに問題がありだせなかった状態だと思います。
そこらを考慮すると、あるものの中では上手くやったのではないでしょうか?

③シナリオについて
こちらについては大きな問題があります。
後半部が開始してしばらくして、前半部の悪役であるザーツバルグ伯爵という人物が死亡し退場します。このザーツバルグ伯爵は非常に魅力的な悪役でした。

彼の魅力的な部分としては悪の美学です。自身の戦う理由を怨恨、敵打ちとハッキリと言い切ります。もちろん、それは火星側首脳陣のヘイト戦略に生じたもので、逆恨みとわかりきった上での事です。そして、作中でもかなりのカリスマを持った人物として描かれいます。
彼の退場により火星側の闘争理由や勢力が不明確になってしまった事と②で書いたように巨大メカをだせなくなってしまったのが痛かったと思います。

一応、火星側と地球側に主人公はいるのですが・・・彼らは闘争理由は個人的な感情に起因し個人の闘争に終わってしまっています。ザーツバルグ伯爵のように自己破滅と逆恨みが熟成されすぎて、まわりも巻き込みまくるところまでは到達していません。15年間逆恨みし続けたのは伊達ではないという事です。
ただ、これも決定的な破綻理由ではないと思います。
では、最も間違えたお約束とはなんだったのか?













それはヒロインの死ぬ死ぬ詐欺です。
この作品のヒロインは近年まれに見る良ヒロインです。
ヒロインであるアセイラム・ヴァース・アリューシア(15才)は火星のお姫様にあたるのですが、火星勢力を勢力として成立させるための重要要素である。謎エネルギー、アルドノアドライブの起動権利を持っています。この起動権利ですが、かなり謎の仕組みで謎エネルギーを始めて起動した皇帝と呼ばれる人物の直系の子孫しか行う事ができません。
容姿端麗で博愛精神と現実視のバランスがよく画面より受ける印象もかなり良いです。舞台装置としての役割としてはパーフェクトです。

このヒロイン・・・近年、稀にみる形で酷い目にあいます。
まず、前半部の第一話で暗殺されます。そして、火星のへの侵略が開始されます。まあ、実は生きていて地球側主人公と合流し火星勢力からの逃避行にはいります。逃避行が成功するまでの間、この人物は生死不明の状態です。

ビックルする事に逃避行が落ち着いた時にいきなり殺されます。そして、復活します。このイベントは前半部と後半部を繋ぐうえで非常に重要な意味を持ちます。
そして、前期最終話にて銃撃されて血を大量に流して再び生死不明になります。

後半部でも生存が確認されるのですが・・・一部の人からは偽物認定されており、作中でも偽物(代役)でした。本物は意識不明の状態で謎のカプセルの中に浮かんでいる状態です。
そして、これまた復活するのは後半部の最後の方です。
(あらためて考えると凄いヒロインですねw)


アルドノア・ゼロにおいてお約束の最大の取り間違えは彼女の取り扱いです。制作陣が意図したものかどうかはわからないですが、ヒロインの生死によりシナリオが動いている言ってもよいです。

このお約束に照らしあわせると
彼女は最終話で生死不明にならなければならなかったのです。
実際の最終回では彼女は殺されず、地球と火星は問題はありますが手を取り合ってやっていきましょうという流れで終わります・・・また、主人公二人の関係も不完全燃焼という形です。
上記の選択を取っていれば、アルドノア・ゼロは迷作ではなく名作となりシリーズ化されていたかもしれません。そして、ヒロインが死ぬ死ぬ詐欺を行うという珍妙なシリーズ物が作られていたでしょう・・・・
というような感じでSFしてみました。